「家を買う」を変える
2020.09.09
僕は昔、ある決断をする時に本当に迷いました。
それは自分の「家」を購入する時に「本当にここでいいのか?」ということ。
色々と怖かった
購入を検討しだしたのは、東日本大震災の少し後。
元々住んでいた家は、戸建ての借家で、借りていた当時ですらすでに築年数が40年くらいでした。
あの震災の衝撃的な映像で防災について本気で考えるようになったし、もうすぐ二人目の子供が生まれるタイミングということもあって、この借家にいつまで住むんだろう、本当に大丈夫か?と思うようになりました。
築40年を超えていた借家は、古い建物好きの僕たち夫婦にとっては、結構好きな家だったんだけど、断熱は全然なっちゃいないし、2階へ登る階段はメチャクチャ急で、妊娠中の妻が落ちて、あわやということもありました。(母子ともに無事でした。)
何よりも、大きな地震が来た時に家族は本当に大丈夫か?というのが一番の心配でした。
そこで、「家買うか!」と夫婦で相談していろいろな建売住宅・中古戸建の内見に行きまくりました。
(ちなみに、マンションという選択肢は当時はなかった。なぜなら、前述の借家の前に住んでいたマンションから引っ越した理由は「上階から・下階への騒音」だったから。)
結果的に素敵な住宅に出会うことができて、購入し、今もそこに住んでます。
でも購入する時に本当に迷いました。
なぜなら、建売住宅なので、その地域のことはあまり知りませんでした。
元々、住んでいた借家から歩いて15分くらいの場所でしたが、細かい環境まではわからなかったし、ましてやお隣さんがどういった人なのか、ご近所トラブルが無いかはものすごく怖かった。
結果的に、お隣さんとも仲良くさせて頂いてるし、ご近所の人たちも本当にいい人ばっかりで、とても満足はしてるんですよ。
でも当時は本当に怖かった。めちゃくちゃ高い買い物なのに、住んでみてからじゃないと(環境的な)良し悪しがわからない。
仮にお隣さんがトンデモな人だったとして、別のところに引っ越そう!ってなかなかできない。
そして、室内についても、内見して「ここにソファを置いて、テレビはここだな」とか、「収納はこれで十分かな。」とか事前に考えるんですが、住んでみたら全然そのシミュレーション通りに行かない。
僕の場合は、リビングにある内階段によって、エアコンの暖気が2階に逃げていってしまうことによる、エアコンのパワー不足。
リビングが寒いって、めちゃくちゃ家へのエンゲージメント下がります。
ここは正直、「生活してみて」初めて分かることってのが、本当に多いですね。
(結果的には内階段に曲がるカーテンレールとカーテンを設置して対応)
みんな、ほんとにこんな高いもの、1日内見しただけでよく買えますね。(買った僕が言うことじゃないですけど)
日本の住宅中古市場
平成25年までのデータしか無いのでですが、取引全体からみた既存住宅の取引戸数は直近のデータで14.7%です。これでも増えている方ですね。
どちらかというと、新築住宅の着工数は減って、既存の住宅取引戸数は変わらないというのが正しそうです。
それでも住宅取引のうち、中古が取引されるのは、たったの1/7です。
アメリカやイギリスでは、中古住宅の取引は80%を超えます。
それぐらい日本では中古住宅が敬遠されます。
そして、平成30年度の国土交通省「住宅市場動向調査報告書」からの引用となりますが、「中古住宅の選択理由」を調べてみました。
以下のグラフがそれですが、中古戸建住宅・中古マンションともに、大多数の購入者は「住宅の立地環境」を最重要視しています。
もともとそのエリアに住んでいる人は周辺環境や地域の活動がどれくらいの規模や頻度で行われているのか、夜の雰囲気なんかはわかってます。
でも、少し離れているとそんなの全然わかんなかったりしますよね。
(個人的には住む地域の「町内会」は結構考慮したほうがいいポイントだと思ってます。)
やっぱり、僕が購入する前に感じた怖さってのはみんな感じているんだろうなと思います。
また、同じ平成30年度の国土交通省「住宅市場動向調査報告書」からの引用となりますが、中古住宅にしなかった理由というのも調査結果が公表されています。
内見しただけではわからない、もしくはしばらく住んでみてからでないとなかなかわからないことを不安に感じて中古住宅を避ける人というのが一定数います。
でも、中古住宅って結構メリットがあると思っています。
まずは、新築よりも安く購入できるということ。
また、一般的に新築のマンションや戸建住宅は約5年経過すると価格は2割位値下がりします。
もちろん需給バランスによって価格は決まるため、人気のあるエリアの物件は値下がり率は低いですし、場合によっては値上がりすることすらあります。あくまで、一般的なお話です。
そして、築10年から15年くらいを境に値下がり率は鈍化します。
これは金額が下がることによって買うことができる顧客層が増えるためです。
逆に言うと、ある程度築年数の経過した建物は「価値が下がりにくい」と言えます。
場合によっては、中古住宅を購入して5年位住んで売却したらほぼお金が戻ってきたみたいなことも起こりえます。
よく、「家は一生に一度の大きな買い物」みたいな言い方をされたりします。
同時に、「家は3回建てないと満足できるものは建てられない」と言われたりもします。
これからの日本においては、空き家率はどんどん上がってきます。
そんな中では、もっと家を購入することがもっとフランクになればいいなと思いますし、一生で10回くらい家を売ったり買ったりすることができる環境になると、不動産中古市場はもっと活性化するのかなと思ったりします。
中古市場が活性化して、「家を買う」時の選択肢としてもっと増えたら、実はより「新築を買う」ことに対してポジティブになれるんでは無いかと思うんですよね。
新築って、買った瞬間に価値がガックーンと落ちます。
それはもう、千賀のお化けフォークくらい落ちます。
なぜなら、少しでも住んだ瞬間にその住宅は、「中古住宅」になるから。
そして、その「中古住宅」の市場規模が小さいから。
中古で買う母数が少ないから当然、需給バランスの関係から見ても落ちます。
中古市場が大きくなれば、価値も落ちにくくなります。
案外、一人暮らしとかで家賃を数万円払っている人も、ローンで中古住宅を購入して払っていって5年位でまた別の物件に住み替えるという形だと総額では家賃よりも安く済んだりするかもしれません。
そんな人達のお手伝いができたらいいなぁ。
だから作ってみた
ということで、昔から「不動産の購入前にお試しで住んでから決める」とか「購入して住んだ後、◯ヶ月以内は契約解除できる」的な不動産の買い方はなんで無いんだろうと思っていたので、自分たちで作ってみました。
サービス名は「タメスマ」といいます。
試し住まいをしてもらいながら購入が検討できる新しい不動産の買い方の仕組みです。
メチャクチャ高額なものを買うのに、じっくり検討できないのって、本当に怖いと思うんですよね。
僕たちは宅建業者ではないので、不動産購入に関して、仲介はできません。
ですので、グループ会社の「みらいアセット」と一緒にスキームを考えました。
株式会社ミライブはこの販売形式の広告プラットフォーマーとして、株式会社みらいアセットは不動産仲介会社として、購入希望者・売却希望者のために活動します。
将来的には、みらいアセットだけではなく、複数の不動産業者が取り扱いできるようになればいいなと思っています。
購入までのスキーム
このスキームにおいてのポイントは、
1.売り主が「試し住まい」に対して、メリットを感じてもらえるのか
2.買い主が「失敗したくない」という気持ちを解消できるか
この不動産の売り方は、売り主にとってこんなメリットが考えられます。
・(売買契約成立しなくても)「試し住まい」の間は賃料を受け取れる
・(売買契約成立したら)売買金額+αとして賃料を受け取れる
・瑕疵担保責任の軽減
・流通しづらい中古住宅の販売(収益化)経路
そして買い主にとってのメリットはこんなことがあります。
・「試し住まい」期間に近隣の環境や近隣住民の様子などがわかる
・内覧しただけではわからない部屋の使い勝手が体験できる
・購入前に建物の瑕疵が把握できる
・購入に対しての心理的ハードルの低減
とはいえ、デメリット・リスクが存在することも確か。
こういった販売の仕方がいいね、おもしろいねと思って頂ける人に検討してもらえると嬉しいです。
今後、このブログの中でも物件の紹介をしていきたいと思います。